キャンピングカーとトラベルカー

移りゆくキャンピングカーの概念

未だに日本では、キャンピングカーといえば写真のような「居住スペースが架装された8ナンバー車」というイメージを持つ人がたくさんいます。

それは「別荘」と同じで、簡単には買うことのできない「究極の贅沢品」という認識が浸透しているのと、「道路運送車両法」の中に8ナンバー車両(キャンピングカー)に関する細かな規定があるからですが、「車中泊」が定着した現在は、8ナンバー車でもユーザーのニーズに対応した様々なタイプが作られています。

実際にキャンピングカーショーに行くと、4ナンバーや3ナンバーのままベッドとギャレーがついたモデルも数多く展示されていますし、ウィキペディアには「本来キャンピングカーとは法律上の特種用途自動車である必要はなく、設備が必須かどうかは使用者の判断による」とも書かれており、従来の「動く別荘」感覚から「普段使いプラスアルファ就寝機能」の軽装車両へと、その主流が移りつつあるようです。

背景にあるのは、道の駅を利用する「車中泊」旅行

キャンピングカーが大型である理由のひとつは、元々ライフラインのないアウトドアフィールドでバカンスを楽しむことを前提に作られているからです。

かつては日本でもそういう使い方が本流でしたが、1993年に登場した「道の駅」の急激な増加により、アウトドアというよりも「旅行目的」でキャンピングカーを使う人々が増えてきました。そしてその様子を普通車でマネだしたのが、いわゆる「車中泊」です。

外食しながら道の駅やサービスエリアを利用して「旅行」をするのであれば、キッチンやトイレは不要で、座席がフルフラットになれば良いだけですから、ミニバンやワゴン車でも少し工夫するだけで事足ります。そんなわけで「車中泊」による旅行は、シニア世代を中心に瞬く間に広まっていきました。

トラベルカーという「新ジャンル」

とはいえ、実際に「車中泊」をやってみると、フルフラットでもクルマのシートのままでは熟睡することが難しく、1周間や1ヶ月の旅行にはそぐわないことが分かってきました。

そこで登場したのが、キッチンとトイレを省いた「簡易キャンピングカー」です。ここでは混乱を避けるために、そういう車両を「トラベルカー」と呼ぶことにしましょう。

「トラベルカー」は、今では業界でも「新ジャンルのキャンピングカー」として認知されており、ライトキャンパーあるいは車中泊カーなどとも呼ばれています。

本来のキャンピングカーに比べれば、はるかにローコストで作ることができ、8ナンバーにできないかわりに車高の制約を受けずに済むことから、ベースとなる車両に幅広い選択肢をもたせることができます。

しかもキャンピングカーの人気装備である、サブバッテリーやFFヒーターなどの搭載も可能ですから、ノーマルなミニバンで外食しながら温泉めぐりを楽しんでいる人にとっては、望む装備だけをチョイスできる理想のクルマといえるでしょう。

「キャンピングカーの基礎知識」の記事一覧はこちらです。

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